『タイガーキング: ブリーダーは虎より強者?!』 【ネットフリックス番組】



パンデミックで自宅待機を強いられている人たちが増え、ネットフリックスの『タイガーキング』の視聴率も急上昇している。
このドキュメンタリー番組の中で、スキャンダラスな事件の場となったのが、タンパ市にあるトラの保護施設であるビッグ・キャット・レスキュー。




Big Cat Recure
https://bigcatrescue.org/

施設の詳細



『タイガーキング: ブリーダーは虎より強者?!』‘Tiger King’


オクラホマでトラの繁殖施設を運営しているジョー・エキゾチックと呼ばれるエキセントリックな男がいる。



風貌からしてクレイジー。巨大なトラへの純粋な愛情が、いつの間にか富と名声への欲望にすり替わり、その愛情が動物虐待ともいえる行為に変わっていった。肉食のトラを養うための資金集めのために、商売優先になったともいえなくないが、そんな彼に対して警告を慣らしていた女性がいた。

その女性の名は、キャロル・バスキン。


ここフロリダ西海岸にある「ビッグ・キャット・レスキュー」のオーナーであり、トラやライオンの保護をしている。彼女と夫はジョーの経営方針を動物虐待として、数年間にわたって徹底的に叩きのめしてきた。

ジョーはキャロルの営業妨害により、いくつものビジネスと収入、そして社会的信用を失った。荒々しい宣戦布告をしたり、著作権違法のいやがらせをするも、キャロルから次々と訴えられて、金銭的にも追い詰められてゆく。

手も足も出なくなったジョーはキャロルを殺すべくヒットマンを雇うがすぐにばれ、いくつかの動物虐待の容疑とともに、22年間の服役を言い渡された。

しかしこのシリーズは、彼らのバトルのみを描いたわけではなく、彼らの周囲や同業者などのリアルな人物へのインタビューも豊富に出てくる。彼らの世界は、多くの人たちから見ればぶっとんだ世界だが、それはフィクション映画でなくドキュメンタリーで、誰もが実在の人物。とはいえ、どこまでが真実なのかも分からない。

ネットフリックスの予告(日本語)



エキセントリックでカルト的な人物がそろった、トラの繁殖と飼育の世界。その中でもひときわ際立つ存在であるのが、オクラホマ州の沿道で動物園を営むジョー・エキゾチック。銃を肌身離さず持ち歩き、マレットヘアが特徴的な一夫多妻主義のカントリー歌手。ジョーをはじめ、麻薬王 、詐欺師、カルト教団のリーダーなど、的外れなカリスマ性を持った強烈な登場人物たちの共通点は、猛獣に対する異様なまでの情熱。しかし、動物愛護運動家でネコ科大型動物の保護区を所有するキャロル・バスキンが、彼らを廃業に追い込むと脅したことから事態は暗転。かき立てられた対抗意識が、ひいては委託殺人を企てたとしてジョーの逮捕へとつながることに。猛獣よりもさらに危険な飼い主たちの、常軌を逸した真実が浮き彫りになるドキュメンタリー。(ネットフリックスより)

キャロルはトラ界のマザー・テレサなのか

トラを保護し、動物虐待を止めるために日夜活動を続けているキャロルは、夫が言うようにトラの世界のマザー・テレサなのだろうか。

前述したように、ここフロリダ西海岸のタンパ市にある非営利団体のビッグ・キャット・レスキューでは、100人を越えるボランティアの人たちが働いている。活動期間の長さによってユニフォームの色が変わり、内容や待遇も変わってくる。Youtube動画の視聴者は100万人越えだし、フェイスブックでの活動も順調で、SNSにより、それなりの収益も得ているし、なにより施設は観光スポットにもなっている。




そんな彼女を熱心に支持する人たちがいる一方で、うさん臭いと感じている人たちが多いのは、彼女の元夫の失踪事件がいまだに解決されていないからだ。


キャロルの消えた元夫

ビッグ・キャット・レスキューの経営者であるキャロルには、元夫のドンがいた。

しかしドンは、今から23年前の1997年を最後に、忽然と姿を消してしまっている。彼のミニバンは、プライベートジェットが発着する小さな空港に駐車されたままだった。

この失踪事件は今でも解決されていない。彼女と知り会う前から巨額の資産を隠し持っていた彼が逃亡したという説と、彼女が彼を殺してトラに死体を与えたという説があるが、どちらも、まったく証拠がない。

タンパベイ・タイムスはここ数日、毎日のようにこれに関する記事をFacebokでシェアしていて、数百件のコメントがついている。地元だけに、こんなものもあった。

逃亡だなんて信じない!私は彼の孫と一緒の学校に通っていたから、分かるの。彼は家族を捨ててそんなことする人じゃない。殺されたのよ!



『キャロルは素晴らしい人。保護が必要な動物を死ぬまで大切にしているのよ。この番組に出てくる偽情報を信じる人は恥を知りなさい』

『たくさんの人たちをタダ働きさせて、非営利団体だからって税金も払ってないのに、巨額のキャッシュが寄付されている。他の保護施設を見たことあるけど、フェンスはあっても、キャロルの場所みたいな檻なんてなかったわ』

『スタッフに給与も払わず、ボランティアたちを週に6日、1日12時間も働かせてる。利益のために動物を使ってるのと一緒じゃない?元夫が失踪するまでは、トラやライオンの売買もやっていたし、余った金があれば誰もが保護施設でも作るでしょうね』

『失踪した元夫の遺書に自分の名前を書き加えたとかっていう事実もあるらしい。この番組を見始めたときはジョーが大嫌いだったけど、少しづつ同情するようになっていった。彼女が執拗に妨害するから、精神を崩したのかも』

『こんなバカ番組見る気ないわ!彼女は素晴らしい人だから、すべてがデマに決まってる』


キャロルが所有するビッグ・キャット・レスキューのページでは彼女を支持し、こんな番組は見るだけ無駄!という声も、当然ながら多くあった。





ジョーのその後~悲劇の中の奇跡

トラを檻に閉じ込めてきたジョーが、刑務所という檻に入れられる結末となったのは、悲劇ではなくてカルマともいえる。同情するにいたらないが、なんとなく哀れみの気持ちは生まれてしまうは、彼が情に深い人間だということが身の回りの人たちの証言で分かるから。

ドキュメンタリーとはいえ、どこまでが事実なのかも分からない。22年の服役を言い渡された絶望的な状況の中でジョーに奇跡が起きているとしたら、それは彼の一番新しい夫の存在である。

息子ほど年の離れたディリオンは、ジョーのこれまでの夫たちと全然違う。ドラッグ中毒でもなさそうだし、好感度抜群。これだけでも奇跡なのに、数日前のこのインタビューがまたすごい。


『ジョーは確かに馬鹿なことをしてきた。でも今の彼には支えが必要なんだ。』

ディリオンは現在、フロリダでバーテンダーをしている。(コロナウィルス影響下で、現在バーは閉鎖中)

『自分が知っている限り、ジョーは、ドラッグをしていない。前の夫たちとも深い愛と絆で結ばれているような人だったよ。この番組が始まってから1日数百中のメールを世界中から受け取るようになって、刑務所のパソコンで熱心に読んでいる。』

ジョーが明日にでも釈放されたらどうするのかという問いに、ディロンはためらうことなくこう答えた。
『迎えに行って、ここ(フロリダ)に連れて戻るよ。この新しい場所は僕らの家だし、愛犬だって連れてきた。
彼はそのあとで、、ずっと育てていた動物たちを取り戻したいと思うんだ。自分の動物園を作ること。それがもともとの夢だったんだ。

僕は彼の施設には半年間しかいなかったけど、その間にラクダやリマなんかを育てた。彼らがいなくなって寂しい思いをしたけど、ジョーは15年間動物たちと過ごしていたわけだからね。どんなに辛い気持ちだろうと思うよ。彼は本当に、いい人なんだよ。すごく正直なんだ。助けを求められたら絶対に断らない。何度となく人を助けてきた。。』

服役中のジョーを見捨てずに、まめに電話連絡をしているし、前向きに頑張っている。そのマインドにしても、風貌にしても、ジョーを取り巻く人たちと全然違う世界にいる。

ちなみに、ビッグ・キャット・レスキュー側はこの番組制作に協力したものの、できあがった番組にひどく不満状態で、『タイガーキング』の 内容を信じないように来園者たちに呼びかけている。
 
このビデオを見てドンの言葉を信じると、動物保護のために番組に協力したのに、ヒットを狙ったゴシップ系番組になってしまっていることに怒りを抑えきれない様子が伝わってくるし、それが本当ならとても気の毒だとは思うけど、ジョー・エキゾチックとキャロル・バスキンは、ネットの世界にいて、すでにジョークのネタになり果ててしまっている。




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